レジリエンス共同研究センターは2016年2月に、モンゴル国において初めて「レジリエンス」を冠する研究組織として設立されました。その目的は、モンゴル国立大学と名古屋大学が連携して、環境、災害、都市化、社会問題等、レジリエンスに関する諸問題について、総合的・学際的な知見を集め、政府や国際機関とも連携して問題解決を図ることです。将来を担う若者たちの力も借りて、「国づくり」の議論と教育の場を提供したいと考えています。
モンゴルは、長年にわたって遊牧の伝統文化を維持してきました。自然と調和しながら、家畜ととともに季節ごとに移動を続けるモンゴル牧民の生活形態は「レジリエンス」そのものです。その一方で90年代以降は、グローバル化が進み、市場経済化と近代化が急速に進行しました。これに伴い、多様な都市問題に直面し、遊牧社会の伝統は変化し、新たな課題に直面しています。レジリエントな遊牧社会の伝統を維持してきたモンゴル人は、近代化によってレジリエントな発想を忘れかけているかもしれません。一方、日本は、アジアの中でいち早く近代化を成し遂げ、繁栄を極めていますが、近年はレジリエンスを見直す時期に来ているのかもしれません。こうした背景において、本センターはモンゴルと日本の両国がお互いに学びあいたいと思います。是非、力を合わせて、レジリエンス研究を進めましょう。
モンゴル国立大学教授 BATTULGA Sukhee
私がレジリエンスという言葉と出会ったのは2010年頃でしたが、その直後に東日本大震災を経験して、その重要性が身に沁みました。レジリエンスは単に防災や減災ではなく、社会を「どのようにしたいか」ということとセットです。日本とは生活文化が大きく異なるモンゴルからレジリエンスについて学ぶことも多く、また両者を比較することでレジリエンスの本質が見えてくる可能性があります。
モンゴル国立大学と名古屋大学とは、長年、様々な分野で交流が深く、その実績に基づいてレジリエンス共同研究センターが設立されました。本センターは、異なる風土や社会情勢を念頭に、普遍的なレジリエンスの概念を追求して、それを高める方策を探すことを目的にしています。今後、多くの若者がここに集い、自由闊達な議論が深まるよう努力したいと思います。
名古屋大学教授 鈴木康弘 →HP
2014年2月 | モンゴル国立大学国際関係・行政学部長バトトルガ氏来日。鮎京理事、藤井理事、市橋副総長と会談 |
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2014年5月 | モンゴル国立大学ガルトバヤル学長から名古屋大学総長濱口宛の協力依頼状 |
2014年9月 | 第1回プレオープンシンポジウム(モンゴル国立大学) |
2014年10月 | 名古屋大学 濱口総長からガルトバヤル学長の返答 |
2014年10月 | モンゴル国立大学内に準備室を設置 |
2015年2月 | モンゴル・ガントムル教育文化大臣へ来日時に説明 |
2015年5月 | 第2回プレオープンシンポジウム(モンゴル国立大学) |
2015年8月 | モンゴル科学技術大学オチルバト学長、モンゴル国立大学バトエルデネ学長へ来日時に説明 |
2015年8月 | モンゴル日本学会主催国際シンポジウム「自然環境・エネルギー問題における戦略的パートナーシップ」で鈴木が招待講演 |
2015年9月 | モンゴル国立大学 国際関係・行政学部内のセンター設置として学長内諾 |
2015年11月 | 第3回プレオープンシンポジウム(名古屋大学)。モンゴルからバトトルガ学部長ほか来日 |
2016年2月 | レジリエンス研究センター・オープニングセレモニー |
2016年3月 | 名古屋大学松尾総長、天野教授がセンターを訪問 |
2016年5月 | 第1回ワークショップ(モンゴル環境省淡水資源・自然保護センター) |